世界名作劇場最高傑作、ペリーヌ物語の魅力を余すことなく伝える

世界名作劇場というとどんな作品を思い浮かべるかしら。あらいぐまラスカル?フランダースの犬?小公女セーラ?どれも名作よね。でもこれらの作品は世界名作劇場最高傑作ではないのだわ。

それじゃ世界名作劇場の最高傑作はどの作品かというとペリーヌ物語。この作品、正直いって地味かもしれない。ペリーヌ物語とかいわれてもペリーヌなんてしらんがなという方が多いかもしれない。

でもしかし……作品の完成度でいうと世界名作劇場どころか、日本アニメ史上でも屈指の出来であり、53話という長丁場でありながら、最後の最後まで緊張感が途切れることなく……このような作品がペリーヌ物語なんて地味な名前で存在していることにただ驚くばかり。

とはいえ作品の内容はというとまさにペリーヌという少女の物語であり、看板に偽りなし。というわけでペリーヌ物語の魅力を余すことなく伝えていくわ。

作品の魅力を伝えるためにはネタバレは必須だけど、ミステリー小説と違いあらすじを知っていても作品の魅力は損なわれないので安心してちょうだい。

というのもペリーヌ物語の結末はだいたい想像できるのよ。重要なのは結果ではなく過程。ペリーヌがいかにしてハッピーエンドを迎えたのか?恐るべき少女の物語が今始まる……

ペリーヌ物語は2部構成

物語は大きく分けて、パリで母親と別れるまでが第一部。お爺さんの愛情を勝ち取るために工場で働くのが第二部。

第一部は悪く言うと平凡なアニメといえるかもしれないわ。でも一部を見ていないと、ペリーヌという少女についての理解が浅くなるので、かならず一部も全部見る必要があります。

平凡とはいえつまらないということはなく、一話完結の旅物語としてよくできているので飽きずに見ることができるでしょう、もしできなくても我慢してみましょう。

母親からの至言がペリーヌの人格を極限まで高めた

ペリーヌは母親に人に愛されたいならまず自分から愛することという至言を受け取るのよ。これって綺麗事でもなんでもなくて、何人たりとも動かすことができない真実なのよね。

自分が嫌えば、相手もそれを察して自分が嫌いになる。自分が好きになれば、相手も好意を察して友好的な態度になる。

もちろんケースバーケースだけど、おおむねこの法則はあてはまる。なんで俺は誰にも愛されないんだ!と嘆いている人の多くは、大抵自分本位で愛されたいけどその実誰も愛していないのよ。

自分本位な存在なんて愛されるわけがなく、例外として赤ん坊があげられるわね。つまり赤ん坊以外の人間が愛されたいならまず自分から愛すると言うこと。

日本人だと愛するなんて恥ずかしくてなかなか口に出せないじゃない。でもね……これってめっちゃんこ大事で、道徳や基礎学力よりもはるかに大事なのよ。

能力が低くても周りから愛されていれば、結構幸せに生きていけるし、その逆もしかり。ペリーヌは母親と別れたとき、財産といえるようなものは何一つなかったけど、この時点で人格が完成されていたのよね。

人格だけではなく、母娘とロバと犬だけで旅をすることによって、生活力もつけていったペリーヌ。

物語開始時点ではまだあどけない少女だったペリーヌだけども、彼女の人間力は第一部で飛躍的な成長力を遂げることになり、それをもってハッピーエンドに突き進むことになります。

ペリーヌの祖父ビルフランという人間

一部の目的は祖父であるビルフランの元にたどり着くこと。そして二部の目的はビルフランの愛情を得ること。つまりペリーヌ物語の目的が何かというと、全てビルフランという一人の人間に行き着くことになるます。

ペリーヌがビルフランについて知っていることは、お金持ちであるということ。父親と喧嘩別れしたということ。母親を憎んでいるということ。

つまり自分が祖父の所に行って孫だと名乗っても、全く相手にされない可能性がある。この事がペリーヌの立ち回りを難しくさせている要因なのだわ。

そして結果からいうと、ビルフランのまだ見ぬ孫についての評価は出来てしまったものはしょうがないから金を掴ませて、インドに帰らせるというもの。

ペリーヌはお金のありがたみを知っていても、お金にはまったく執着していない。それよりも天涯孤独になったがゆえに愛情に酷く飢えており、唯一の身内である祖父の愛情がたまらなく欲しかった。であるのでお金を貰ったところでどうしょうもない。

ペリーヌが何も考えずビルフランにいきなり孫だと名乗ってしまった場合、バッドエンドに直行するということになり、頭のいいペリーヌは名乗ることはせず、このルートを回避した。視聴者は早く名乗ればいいじゃないかと思うかもしれないけど、ペリーヌは熟考したのよ、本当は一秒でも早く名乗りたかったんでしょうけどね。

ビルフランという人間だけど、怜悧冷徹というわけではないが、特別情が深いというわけでもない。この時代の経営者らしく、労働者の待遇はけっして褒められたものではなく、彼らに恐れられていても敬慕されているわけではない。

一代で7000人の労働者が働く工場を作り上げた事からも分かるように、有能であり、自分に厳しく、他人に厳しく、仕事で怠ける人間を嫌悪し、有能な人間は人格的に問題があっても重用する。

そんなビルフランも、自分の息子の乳母の孫であるロザリーが怪我をしたとき、すぐに医者にみせるように指示する事から分かるように、身内と認めた人間には甘く優しい。

無能な甥を厚遇しているのも身内に甘い証拠ね。

このようなビルフランの心をどうやって掴むのか?ペリーヌは出会いから最終回まで万全の立ち回りで一つづつ困難な道を越えていく。

物語の中盤で文字通り全てを失い一文無しになる

パリを旅発ち、父親の故郷に向かう中で、愛犬バロンの痛恨のやらかしにより、一文無しになったペリーヌ。

ペリーヌは少しづつ少しづつ真綿で締められるように、持っているものを失っていく。馬車、愛ロバパリカール、母親、写真機、お金、そして健康。

旅の途中で力尽きたペリーヌは森の中で倒れ込み、ここで終わればフランダースの犬コース。この窮地を助けたのも愛犬バロンであり、パリで知り合ったおばさんを呼びに行った事により、一命をとりとめる。

比較的ご都合主義がないペリーヌ物語において、このエピソードは出来すぎと感じるかもしれないけど、世界名作劇場は動物の活躍も見せ場の一つだから、物語当初から一緒であり、ペリーヌに残った最後の存在であるバロンの大活躍はむしろ物語において必須なのよね。

ここでペリーヌには選択肢があった。すなわち助けてもらったおばさんと商売をしながら生きるという選択肢。

だけど祖父の元に向かう事は、母親との約束であるため、丁重に断ったペリーヌ。

自分が当事者だったらとして考えるとどうかしら。私はペリーヌじゃないからお金持ちになるという動機でビルフランの元へ行こうとするでしょうね。

主人公の友人は一人でいい

父親の故郷マロクールにたどりついたペリーヌが最初に出会ったのが後の親友であるロザリー。私のただの思い込みだけど、主人公の友達って一人でいいのよ。

二人以上いるとぼやけちゃうし、その点同性の友人がロザリーだけだったので、見やすかったのよね。

ロザリーは当初誰も頼れる人間がいないペリーヌにとっての親友であり、心の支えであり、父親の乳母の孫であり、舞台装置として必須である食堂の経営者の娘であり、勤める工場の先輩という、かなりの役割を背負っているキャラだけど過不足なく務めたわね。

デザイン的にはあまり可愛く設定されていない印象を受けるけど、物語の最後には可愛くみえてくるわ。これはまぁペリーヌにもいえるけどね、他の世界名作劇場の主役は目がクリクリだけど、ペリーヌはのっぺりしていているのよ、でも作中では美人扱いだし、見ている内に美人に見えてくるのよね。

ディズニーでもムーランとかがそんな感じだったわ。キャラが魅力的なら容姿も良く見えてくるということです。

倍どころじゃない 60サンチーヌ→90フランの出世

ペリーヌの当初のお給料は60サンチーヌ、100サンチーヌ=1フラン。私の感覚だと1フラン1000円なので、日当600円といったところかしら。

最下級の宿は一泊20サンチーヌで、ここからパンの代金と生活必需品を買うと生活は一杯一杯。ペリーヌを通して視聴者は当時の労働者の経済状況が分かることになります。

ペリーヌは一文無しになり死にかけた経験があるので、お金に執着はしないけど、お金の大切さが身に染みて分かってるので、節約生活を送ることになります。

森でみつけた狩猟小屋に止まり、宿泊代を0円にし、生活必需品をDIYで自作する。この鬼のような節約生活、あっというまに給料が上がってしまうので、一見あまり意味がなかったかように思えるけど、この経験がビルフランの信頼を勝ち取るのに大きく寄与することになるのよね。

ペリーヌが何でも作ってしまうのを見るのは楽しいし、貧乏だけど工夫でやりくりしているのを見るのが好きな層にとってはたまらなく面白い。つまり私は最高に面白かった。

ロザリーと弟にご馳走を振る舞うシーンは感激すら覚えます。

欲を言えばこの貧乏話がもっと続けば最高だったけど、物語がちんたら進行してしまうから、このくらいでちょうどよかったのかもしれないわね。

シンデレラだがシンデレラではないペリーヌ

7000人の労働者が働いているビルフランの工場だけど、英語が堪能な人材が圧倒的に少なく、英語ができるペリーヌが抜擢されることになり、日当60サンチームで働いていたトロッコ押しから、ビルフランの秘書に上り詰めることになる。

後にペリーヌの事をシンデレラと作中で評論されるけど、私はこれはずれていると感じるわ。ペリーヌが実力で勝ち取った地位だからね。

英語ができるだけではなくて、丁寧な物腰、出しゃばらない態度や、礼節を弁えていた事など、総合的な人間力を評価されたのが秘書に抜擢された要因ね。

もし物語当初のペリーヌならここまで評価されなかったかもしれない。地獄をくぐり抜けた人間の凄みが彼女にはあり、海千山千のビルフランは本能でそれをかぎ取ったんでしょうね。

ビルフランはあくまで実益の人だから、身内以外の人間を登用するにあたって能力がない人間なんて見向きもしないでしょう。

実際ペリーヌの能力だけどゲームみたいにステータスがあったとして、秘書としてほとんどの能力値がカンストしていることが容易に想像できる。

能力だけではなく、ビルフランへの忠誠心がマックスだったことも大きかったわね。ビルフランの周りの人間だけど、執事長はビルフランに忠実であり有能な人材だけど、それは家でのこと。

工場では心の底から信頼できる人間がほとんどおらず、その事が心細かったであろうビルフランにとって、無条件で自分を愛しているペリーヌは貴重な人材であったという点は見逃せない。

ワシを裏切る者は許さないというポリシーを持っているけど、工場長と甥を切ることができない弱みも持っているのね。

ビルフランは実の甥にはまったく親しみを感じないけど、この時点で他人だと思っているペリーヌことオーレリーには家族同然の親しみを感じている。

これは当然で、オーレリーはビルフランのことを無条件で愛しているからであり、決してビルフランを裏切らないという点で、オーレリーは少女ながらビルフランの秘書として最適な存在であり、両者に接点が生まれた時点で、この成り上がりは半ば必然であったといえるでしょう。

目が見えないという設定が最大限生かされている

ビルフランの目が見えないという設定がどれだけ、物語に深みを与えたのか。まずペリーヌが父親であるエドモンドと似ているということ。

つまり祖父であるビルフランの目が見えた場合、一目見ただけでペリーヌの背景にエドモンドがいることが分かってしまうことになり、これは後半ビルフラン本人が目が見えていたら、すぐに孫だと分かったという語った事からも確定している。

百聞は一見にしかずというけど、目が見えているというだけで、ペリーヌは孫への座を最短でかけあがることができたということであり、これでは物語の面白みが半減してしまうということになるわね。

目が見えないことによって、工場長のタリエルが悪巧みしていても、有能な彼を切ることができず、苦悩するビルフランの立場が透けて見える。

そして手術することで、最も愛する孫のペリーヌの顔を見て感涙する名シーンが生まれる事になり、ビルフランが目が見えないという設定は、ペリーヌ物語に欠かせないということができます。

有能すぎる男フィリップ

最後までというか結局自分から孫だと名乗り出なかったペリーヌことオーレリー。彼女が孫であることを証明したのはビルフランに雇われたフィリップ弁護士だけども、彼は超有能なのよね。

サラっとパリ中調査してとかいうのよ。これがどんだけ大変なのか想像もつかない。そしてただ事務的に仕事するだけではなく、演出が出来る男なのよね。

フィリップが最後にビルフランの前でペリーヌを孫だと証明したシーンは是非見ていただきたいのよ。

まぁそんな事は関係なくここで語るけど、以上で私の最後の調査は終わります。目の前にいる女性があなたの孫のペリーヌ、パンダ……なんだったかしら?まぁようするにフルネームをいうのね。

この演出ができる時点で私は思ったわ。この男はペリーヌに匹敵する有能な男だと。さすがビルフランが金にものをいわせて雇っただけはあるわね。

その前にロバのパリカールに会いましたっていうのも憎いわね。絶対自分から名乗らない女、ペリーヌを自白させたその手口、まったくもってあなどれないわ。

ペリーヌ物語を見よう

単純に一人の少女のサクセスストーリーとして痛快だし、孤独な老人と孤独な少女の心温まる再会に感動するし、バロンはアホ可愛いしで、恐ろしくクオリティの高い作品になっているのがペリーヌ物語。

もう少し万人受けする絵柄だったら、もっと人気を博したかもしれない。とはいえ子供より大人のほうが楽しめるストーリーだから難しかったかしら。

ということでとにかく見ようペリーヌ物語。今ならamazonのアニメチャンネルで全話見れるわ。確かamazonプライム会員なら月500円払えば見られるのよ。無料期間が二週間あるので、1日4話見れば無料で完走できるわね。

以上ペリーヌ物語の感想でした。
これからまた全話見て、気付いた事を補足していきますわね。
まだ書きたいことの半分くらいしか書いてないわ。
工場長のタリエルさんの魅力についても語り尽くしていく予定です。

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